神経調節性失神

おはようございます。少し忙しくてなかなか更新できませんでしたが、また再開します。

さて、今日は聞き慣れない病気、神経調節性失神について説明します。

どんな病気か。簡単に言うと、寝ている状態や、座っているところから急に起き上がったり立ち上がったりした後に血圧や脈拍が下がって気を失ってしまう病気です。

これ自体で死ぬことは基本的にはないですが、例えば横断歩道の真ん中などで倒れたら危ないですよね?また病院に行ってもなかなかきちんとした診断をしてもらえない場合や、職場や学校などでの理解が得られないなど、なかなかにつらい病気です。

ではなぜ急に立ち上がるとこうしたことが起こるのでしょうか?

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人は、心臓が強くしっかり動くことで全身に血液が巡り、酸素や栄養分が送られます。もちろん首の血管を通って脳にも酸素がいくのですが、心臓は胸にあるので、立っている状態だと重力に逆らって脳に血を送らなければいけません。実はそれって地味にすごいことだと思いませんか?

普段私たちは、無意識にけっこうな高さまで心臓から血液を送っているのです。これは、心臓が頑張っていることもありますが、同時に血液の通り道である血管が収縮するからなんです。

例えば寝ている状態なら心臓と頭はほぼ同じ高さにあって心臓的には楽ですよね?

しかし、ムクリと起き上がると急に頭が高い位置に移動するので、普通は血管がそれに反応してキュっと収縮するんです。子供の頃、ホースで水を撒いたりした経験はないでしょうか?その時に、ホースをギュっと押さえると、ホースの管が縮んで水が勢い良く出たのではないでしょうか?

血管も同じように、必要に応じて縮むことで血液が勢いよく頭まで巡ってくれるのです。

神経調節性失神という病気は少し複雑で、この「急に起き上がる」という動作を首の血管が感知すると、交感神経と呼ばれる神経が血管を縮めようと強い命令を出します。しかし、その命令が強すぎて、反射的に逆にそれを緩めようとする副交感神経と呼ばれる逆の神経が活動し始めます。まあなんでこんなことが起こるのかは分かりませんが、上司に強い命令口調で指示されたらちょっと反発したくなったりやる気がなくなったりしますよね? 命令される前より萎えてしまうこともあるはずです。

神経調節性失神では、神経にこれと同じようなことが起こってるとイメージして下さい。

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まとめると、

①立ち上がる→血管を縮めろ!と交感神経君が強い命令を出す

②いったんそれに従い血管が収縮する

③その強い命令に反発すべく副交感神経君が血管を緩めたり、心臓の拍動を下げて、やめだやめだ!とマイナスの命令をする笑

④結果として血圧が下がったり、心拍数が下がったりして、気を失う

こんな感じです。10代〜20代の若い女の子なんかに多い病気です。診断方法は、入院してティルト試験と呼ばれる特殊な検査をしなければいけないのでかなり大変です。だいたいは、気を失う前に、イスから立ち上がるとか、そういった「動作」があるかを診察の時に確認することであたりをつけるわけです。

この病気の難点は、医学知識のない一般社会からは、「心の病気」なんじゃないか、とか「やる気がない」、「気持ちの問題」と思われてしまうことです。病院に行っても、専門ではない先生だときちんと診断してもらえないこともあります。

特に感受性の強い若い子にも多い病気ですし、社会人でもそうですが、生きていく上で周りの人たちから理解されないというのはとても苦しいことです。

加えて、この病気、薬でパッと治せるものでもありません。もちろん薬が効く場合もありますが、治療の第1選択は、薬ではなく生活指導なのです。具体的には、

●水分や塩分を摂って脱水にならないようにする

●睡眠をよくとり、規則的な生活をする

●急に起き上がらずに、ゆっくりと起き上がる

●ティルト訓練と呼ばれる練習を自宅で行う

●弾性ストッキングを着用する

といったところです。高血圧には塩分はダメ、と以前の高血圧の回で言いましたが、今回はその逆ということです。塩分を摂れば血圧は上がるのですから。

訓練法や、実際に失神が起こりそうな時の回避法などはこちらの会社のホームページで紹介しているので参考にしてみて下さい。

この病気、良くなるのに時間がかかるし、努力も必要なのです。当然、症状がひどい時には毎日のようにこうした症状が出て仕事もままならない、という方もいますし、学生さんで学校や部活の友達にも理解してもらえず悩んでいる方も実際に何人もいました。

おそらくこれを読んでいる人で、自分がその病気!って人はまだ少ないかもしれませんが、今回に限らず、こういう病気もある、ということを知識として知っていたら、いつか誰かの助けになるかもしれません。

<参考文献>

日本循環器学会 失神の診断と治療のガイドライン

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