医療ミスと合併症の違い

こんにちは。前回の話の流れで「合併症」という概念が出てきましたので、どういう意味かを説明したいと思います。このご時世、「医療ミス」がニュースでよく取り上げられていますが、検査や手術などの治療の際に出てくる「合併症」という概念。入院したことのある方はもしかしたら聞いたことがあるかもしれません。「合併症」とはなにか?医療ミスとどう違うのか?

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①合併症とは

医療行為を行う際に、例えばレントゲンを撮るとか、超音波の検査や心電図の検査をする場合、検査によって患者さんの体に不利益を与えるような事故が起こる可能性は基本的には0%です(もちろんレントゲンは放射線に被爆しますが、それを言ったら我々医療従事者、特に放射線技師や循環器内科の医師は毎日その何十倍、何百倍の放射線を浴びています。)

このためこれらの検査は、「非侵襲的検査」と呼ばれます。侵襲とは患者さんの体に負担や害を与えることです。

一方で、採血や点滴、造影剤などの薬を使ったCT検査やカテーテル、外科手術などは、病気の検査や治療のために行いますが、やむを得ず患者さんの体に不利益を与えてしまう可能性が0ではありません。採血なども患者さんの体に針を刺しますし、稀ですが神経障害などを起こすことはあります。造影剤にはアレルギーや腎不全などのリスクがありますし、カテーテルや外科手術などは最悪の場合、死亡する場合もあります。こうした、検査や治療が原因で起こる、患者さんにとって不利益となる事象を総じて「合併症」と言います。

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②医療ミスと何が違うの?

でもそれって結局医療ミスなんじゃ・・・そう思われる方も多いと思いますので、違いを説明します。分かりやすくするためにいくつか例を挙げましょう。

例1) 腹痛で救急外来を受診された21歳女性。発熱と下腹部の痛みなどから急性虫垂炎(盲腸)が疑われたため造影CTを行ったところ、造影剤を注射した後から血圧低下と呼吸困難、全身の皮膚の湿疹を認め、造影剤によるアレルギー反応、アナフィラキシーショックと考えられた。

例2)胸痛で来院された52歳男性。心電図検査などから急性心筋梗塞と診断。カテーテル治療を行った。治療後、胸痛は改善したが右手、右足の麻痺症状を認めた。MRIなどの検査から、脳梗塞と診断された。原因は、カテーテル中に血栓が脳の動脈に飛んだものと推定された。

例3)糖尿病の治療のため入院となった40歳男性。高血糖治療のためインスリン10単位を打つ指示であったが、インスリン希釈の際に誤って100倍量のインスリンを点滴に混注してしまい、点滴開始30分後より意識消失。簡易血糖測定により原因は低血糖によるものと考えられた。

例4)右腎細胞癌のため手術となった60歳男性。手術後、摘出されたのが反対側の左腎であったことが判明した。

※これらの事例は説明のため創作したもので実際の人物等とは一切関係ないです。

 

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先に結論から言うと、例1と2は合併症、3と4は医療事故と言えます。では違いは何か?これは、事前に一定の確率で起こることが予想され、患者さんにその可能性やリスクを説明し得たものかの違い、そして事前の注意で防ぎ得たものかどうか、この2点の違いです。

先に例3と4を振り返ると、インスリンの量の調製は事前の注意や確認で防ぎ得たと言えるでしょう。また例4については言うまでもないですね?こうした事例はれっきとした医療ミスと言えます。

では例1はどうでしょう?造影CTの検査は病気の診断に間違いなく必要でしたし、今の時代、造影剤を使うCT検査では必ず同意書を取っており、事前にアレルギーのリスクも説明するはずです。またどんな名医が検査をオーダーしてもアレルギーは起こったでしょう。もちろんアレルギーに対しては適切な対処が行われたという前提で話していますが。よって例1は合併症の代表的な例と言えます。

例2についてはどうでしょうか?専門的な話で恐縮ですが、ここではカテーテル中にワイヤーが頸動脈などに迷入するなどの手技的な原因がなかった前提で話します。心筋梗塞の治療にカテーテルは必須ですが、大動脈など血管の壁にコレステロールのプラークがたくさんついていてそれが偶然カテーテルの先に当たって脳に飛んでしまったり、カテーテル中に血栓ができてそれが飛んでしまうなどの事象は稀に起こります。これは術者の不注意で起こるというよりは不可抗力によるところが大きい事例なので合併症となります。カテーテル検査の同意書には脳梗塞などのリスクがあることも通常、記載されています。

あくまで分かりやすい例を取り上げて説明しましたが、実際には確かに線引きが難しい例も多いです。最近何かと過敏な世の中なので、医療現場では検査1つ1つに同意書やら、リスクの説明があり、患者さんとしても煩わしいと思いますが、どうかご理解頂きたいということもあり今回このようなテーマで文章を書きました。いかがだったでしょうか。

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