日別アーカイブ: 2019年3月17日

胸の痛み、危険信号を見逃すな

こんにちは。1週間が過ぎるのは早いですねぇ。やっと週末と思ったら、もう日曜日も終わってしまいます。さて今回は、我々も頭を悩ますことの多い症状、「胸痛」について説明していきます。

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胸が痛い時、真っ先に心配するのは心臓の病気(狭心症)です。狭心症とは、心臓に酸素や栄養を送る血管が狭くなったり詰まったりすることにより胸が痛くなる病気です。完全に詰まってしまうと「心筋梗塞」となります。どちらも命に即直結する怖い病気です。

もちろん早めに病院に行くに越したことはないのですが、胸の痛みにも色々原因は考えられます。では、どのような痛みが危険な徴候なのでしょうか?

例として、以下のような2人の患者さんがいたとします。今回は症状の特徴を覚えてもらうために敢えて年齢など他の情報はない状態で示しています。どちらがヤバそうですか?

 

Aさん: 先生、最近胸が痛むことがあって、心臓の病気なんじゃないかって心配です。痛くなるときは、チクチクした痛みで、数秒で治るんですが、胸を指で押すとすごく痛いんです。健康のために毎日ランニングをしていて、走ってる時は症状は出ないですが、家で何もしてないと、時々痛むことがあります。

 

Bさん: 最近歳のせいか、運動するのがしんどくなって、用事で外出する時以外はあまり動いていません。胸の痛みですか?痛いってこともないですが、無理して階段を上ったり早歩きをすると苦しくなります。20分くらい休むと楽になるので、また歩けます。去年は駅の階段くらいは休まずに上れていたのに、これも老化現象ですかねぇ。

 

まあフリがあからさまだったので何となく分かったと思いますが、正解はBさんの場合です。

ポイントとなるのは、痛みの種類と、症状の持続時間です。前者はチクチクした痛みで、持続時間が数秒と短い。後者は胸が苦しくなる症状で、持続時間が20分と比較的長い。

心臓の痛みの原因は、心臓に酸素や栄養を運ぶ血管(冠動脈といいます)が、狭くなったり詰まったりすることですが、胸全体に広がるようなじわーっとした痛みや、時に息が苦しくなる、とか胸が締め付けられるように感じる方もいます。反対に、痛い場所が一点に集中していたり、チクチクした痛みの場合、心臓からきている痛みではない可能性が高いと言えます。

また心臓は胸の中の方にあるので、表面を押して痛くなる、というのも心臓ではない可能性が高いでしょう。

一方で、Bさんの場合を見てみましょう。Bさんは、「胸の痛み」という表現こそしていませんが、(胸全体が)苦しくなるような症状で、持続時間がAさんと比べて長いのも心臓の痛みに特徴的です。また、階段を上るなどの、運動による症状悪化を訴えています。走ったり階段を上ったりするとその分心臓もエネルギー、酸素が必要なので、心臓の血管が狭いと安静にしている時よりも酸素が不足して苦しくなってしまいます。そして休むと、症状が改善しているという点も心臓の痛み(狭心症)の特徴をよくとらえています。

もちろん、これはあくまで多くの場合、このような症状です、といった特徴の話なので、実際に胸が痛いときは病院で心電図をとってもらい、医師の診察を受けましょう。

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最後に雑談程度ですが、実は「狭心症」には2種類あります。

1つは一般的な狭心症。さっき説明したBさんのように心臓の血管が狭くなることにより心臓に酸素や栄養が届きにくくなり、運動によって症状が出て、ひどくなると少し動いただけでも症状が出たり安静にしていても症状が出るといった段階があります。

もう1つは、心臓の血管は綺麗なのに、アセチルコリンというホルモンが作用すると血管が痙攣を起こして一時的に狭くなり、上の狭心症と同じく胸の痛みが出るタイプのものです。「冠動脈」が「痙攣」するので冠攣縮性狭心症と呼ばれています。普通の狭心症と違って、心臓の血管が綺麗でも体質的に起こることが多く、安静にしているときに起こりやすい点が特徴です。また早朝や夜間に起こりやすいのも特徴です。また機会があれば話しますが、普通の狭心症はカテーテル治療を行うのに対して、冠攣縮性狭心症はお薬での治療が主になります。(ただし、診察だけでは正確な診断は実は難しく、診断のためにカテーテル検査を行う場合はあります)

少し話が長くなってしまいました。日曜日の夜は憂鬱ですが、また明日から1週間頑張りましょう。

<参考文献、サイト>

1)日本循環器学会「急性冠症候群に関するガイドライン」

2)日本循環器学会「冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン」

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中高年の足の痛み、手遅れになる前に知っておくべき2つのこと

おはようございます。今回は「足の痛み」について勉強していきましょう。

ひとくちに足の痛みといっても、原因は様々です。診断が正しければそれでいいのですが、原因によって治療法が変わる病気なので、もし診断が間違っていた場合には手遅れになることもあり得ます。ここでは中高年の方に多い「足の痛み」の原因として多いものを取り上げ、見分け方をお教えします。

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①神経からくる痛み

まずは、誰もが連想しやすい「神経痛」です。ほとんどの方が、「歳のせいで」、とか「坐骨神経痛」なんかをまず考えるのではないでしょうか。確かに足の痛みの原因として考えられると思います。具体的には脊髄や太もものところの神経が、加齢による変化で骨によって圧迫されて起こる痛みです。

人間は背骨のところに大事な大事な脊髄神経という大きな神経の管があります。大事なので脊椎という骨(背骨)によって守られています。しかし、老化現象で骨の変性が起こると守っている骨がだんだんと神経を圧迫したり悪さをするようになります。正確な病名は「脊柱管狭窄症」といいますが、骨と骨の間にある椎間板というところが飛び出して神経を圧迫する「椎間板ヘルニア」もあります。ただし、一般的には混同されやすく「腰椎症」とか、単に「ヘルニア」なんて言ったりもします。

いずれにせよ神経が圧迫されて痛みが出ていますので、痛みの特徴は、「ピリピリとした痛み」で、「姿勢の変化」によって悪化したりよくなったりします。具体的には「おじぎ」をしたり、座ったりと背骨を曲げるような動きで悪化することがあるのが特徴です。

 

②血管が詰まったり狭くなったりする病気

2つ目は、血管が詰まることで足が痛くなる場合です。①とは全く別の病気です。歩いたり走ったりするのには足の筋肉を使います。当たり前ですよね。でもその足の筋肉にも栄養がいかないと動いてはくれません。つまり足にも血液が酸素や栄養を運んでくれているのです。

しかし、高血圧や糖尿病、タバコなどが原因でだんだん「動脈硬化」が進むと全身の血管がボロボロになっていき、やがては詰まってしまいます。脳の血管が詰まると「脳梗塞」、心臓の血管がつまると「心筋梗塞」という病気です。どちらも命や人生に関わる大病ですが、足の血管が詰まると足が痛くなります。

この②の場合の特徴は、最初は運動したり長い距離を歩くと足が痛くなることです。つまり家で寝ていれば痛くはないんですね。前かがみになっても痛くならない。ここが①と大きな違いです。ただし、段々と症状が進むと次第にちょっとの距離を歩くだけでも症状が出たり、ひどいと安静にしていても痛みが出たりします。ここまでくると、足に「潰瘍」と呼ばれる傷ができたり、足の色が紫や黒くなってくるので違いは明らかなのですが、神経痛だと信じ込まれていると足の色を診察の時に見てくれないかもしれないので、気づいたときには手遅れというケースもあり得ます。

手遅れとは足が腐ってしまい、切断手術をするしかない状態のことです。ここまで悪化してしまうと潰瘍の部分から感染することも多く、命に関わります。

 

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次に治療法ですが、①の場合はまず整形外科に行かないといけません。その上で骨の状態などをみて手術をするか、リハビリや痛み止めなどで様子をみるか、先生と相談して治療法を決めます。

②の場合は内科で相談してください。手と足の血圧を同時に測る検査を行い、足の血圧が手よりも低い場合は要注意です。(注:ふつうは足の方が血圧が高いのです)  まずは薬での治療を行いますが、場合によっては早めにカテーテル治療やバイパス手術という治療を行った方がいい場合もあります。たかが足、されど命に関わることも多く、歩けなくなったり切断しなければならないとその人の人生にも大きな影響を与えます。

①と②の違い、分かっていれば早めに対処できますが、例えば初期の段階で本当は②が原因なのにも関わらず、①と信じられてしまい痛み止めや湿布などで様子をみる、となった場合、症状が悪化して気づくまでそのままということもあり得るので最初の診断が大事なのです。

③その他

もちろん足の痛みの原因は①、②だけではありません。尿酸の値が高いことで起こる痛風や、足の皮膚の下の感染などで起こる蜂窩織炎という病気など、様々です。また機会があれば他の病気のことも取り上げたいと思います。

 

<参考文献、サイト>

1)日本循環器学会「末梢閉塞性動脈疾患のガイドライン」

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