月別アーカイブ: 2019年4月

医療ミスと合併症の違い

こんにちは。前回の話の流れで「合併症」という概念が出てきましたので、どういう意味かを説明したいと思います。このご時世、「医療ミス」がニュースでよく取り上げられていますが、検査や手術などの治療の際に出てくる「合併症」という概念。入院したことのある方はもしかしたら聞いたことがあるかもしれません。「合併症」とはなにか?医療ミスとどう違うのか?

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①合併症とは

医療行為を行う際に、例えばレントゲンを撮るとか、超音波の検査や心電図の検査をする場合、検査によって患者さんの体に不利益を与えるような事故が起こる可能性は基本的には0%です(もちろんレントゲンは放射線に被爆しますが、それを言ったら我々医療従事者、特に放射線技師や循環器内科の医師は毎日その何十倍、何百倍の放射線を浴びています。)

このためこれらの検査は、「非侵襲的検査」と呼ばれます。侵襲とは患者さんの体に負担や害を与えることです。

一方で、採血や点滴、造影剤などの薬を使ったCT検査やカテーテル、外科手術などは、病気の検査や治療のために行いますが、やむを得ず患者さんの体に不利益を与えてしまう可能性が0ではありません。採血なども患者さんの体に針を刺しますし、稀ですが神経障害などを起こすことはあります。造影剤にはアレルギーや腎不全などのリスクがありますし、カテーテルや外科手術などは最悪の場合、死亡する場合もあります。こうした、検査や治療が原因で起こる、患者さんにとって不利益となる事象を総じて「合併症」と言います。

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②医療ミスと何が違うの?

でもそれって結局医療ミスなんじゃ・・・そう思われる方も多いと思いますので、違いを説明します。分かりやすくするためにいくつか例を挙げましょう。

例1) 腹痛で救急外来を受診された21歳女性。発熱と下腹部の痛みなどから急性虫垂炎(盲腸)が疑われたため造影CTを行ったところ、造影剤を注射した後から血圧低下と呼吸困難、全身の皮膚の湿疹を認め、造影剤によるアレルギー反応、アナフィラキシーショックと考えられた。

例2)胸痛で来院された52歳男性。心電図検査などから急性心筋梗塞と診断。カテーテル治療を行った。治療後、胸痛は改善したが右手、右足の麻痺症状を認めた。MRIなどの検査から、脳梗塞と診断された。原因は、カテーテル中に血栓が脳の動脈に飛んだものと推定された。

例3)糖尿病の治療のため入院となった40歳男性。高血糖治療のためインスリン10単位を打つ指示であったが、インスリン希釈の際に誤って100倍量のインスリンを点滴に混注してしまい、点滴開始30分後より意識消失。簡易血糖測定により原因は低血糖によるものと考えられた。

例4)右腎細胞癌のため手術となった60歳男性。手術後、摘出されたのが反対側の左腎であったことが判明した。

※これらの事例は説明のため創作したもので実際の人物等とは一切関係ないです。

 

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先に結論から言うと、例1と2は合併症、3と4は医療事故と言えます。では違いは何か?これは、事前に一定の確率で起こることが予想され、患者さんにその可能性やリスクを説明し得たものかの違い、そして事前の注意で防ぎ得たものかどうか、この2点の違いです。

先に例3と4を振り返ると、インスリンの量の調製は事前の注意や確認で防ぎ得たと言えるでしょう。また例4については言うまでもないですね?こうした事例はれっきとした医療ミスと言えます。

では例1はどうでしょう?造影CTの検査は病気の診断に間違いなく必要でしたし、今の時代、造影剤を使うCT検査では必ず同意書を取っており、事前にアレルギーのリスクも説明するはずです。またどんな名医が検査をオーダーしてもアレルギーは起こったでしょう。もちろんアレルギーに対しては適切な対処が行われたという前提で話していますが。よって例1は合併症の代表的な例と言えます。

例2についてはどうでしょうか?専門的な話で恐縮ですが、ここではカテーテル中にワイヤーが頸動脈などに迷入するなどの手技的な原因がなかった前提で話します。心筋梗塞の治療にカテーテルは必須ですが、大動脈など血管の壁にコレステロールのプラークがたくさんついていてそれが偶然カテーテルの先に当たって脳に飛んでしまったり、カテーテル中に血栓ができてそれが飛んでしまうなどの事象は稀に起こります。これは術者の不注意で起こるというよりは不可抗力によるところが大きい事例なので合併症となります。カテーテル検査の同意書には脳梗塞などのリスクがあることも通常、記載されています。

あくまで分かりやすい例を取り上げて説明しましたが、実際には確かに線引きが難しい例も多いです。最近何かと過敏な世の中なので、医療現場では検査1つ1つに同意書やら、リスクの説明があり、患者さんとしても煩わしいと思いますが、どうかご理解頂きたいということもあり今回このようなテーマで文章を書きました。いかがだったでしょうか。

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カテーテル、ステント治療とメリットと注意点について

こんばんは。ブログを始めてはみたものの、なかなかアクセス数が伸びないなーと思い試しにブログランキングというものに登録したら、なんだか急にアクセスが増え始めた気がしてちょっとテンションが上がったのでまた更新しています。

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さて、今日はカテーテルの治療について勉強していきましょう。まず、カテーテルとは何か?

狭心症とか心筋梗塞という病気は、心臓に酸素や栄養を運ぶ3本の血管のどれかが詰まると起こるのですが、この詰まりをとるためにカテーテル治療を行います。以下に手順を説明します。上の写真は、心臓を栄養する冠動脈という血管の模型です。やや見づらいですが、大きく分けて、3本の血管があります。

 

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①手首や足の付け根の血管に麻酔をして、少し大きめの点滴の管を入れ、そこから血管へのアクセスを作ります。

②血管(ここでは動脈のこと)は全身でつながっているので、手や足の血管からワイヤーという糸をレールのようにしてカテーテルの管を伸ばしていき、心臓の血管に辿り着きます。

③さらに細いワイヤーを心臓の血管に通して、それをレールにしてバルーンと呼ばれる小さな風船や、ステントという小さい金属を心臓の血管の中で膨らませます。

④ワイヤーを抜き取ると、バルーンやステントで膨らみ、詰まりの解除された血管に仕上がります。

とだいたいこんな感じです。まあ書くだけなら簡単ですが、実際には血管の詰まり具合や石灰化といって動脈硬化で硬くなったりしているのでワイヤーが通らなかったり、バルーンやステントがうまくいかなかったりと簡単ではありません。

ただ、循環器内科医がどんな治療をしているのかが何となく伝わればいいと思います。

さて、ここからは注意点ですが、前回の便潜血の話でも触れましたが、現代のカテーテル治療ではステントと呼ばれる金属を使うことがほとんどです。昔はバルーンで膨らませるだけの時代もありましたが、すると半分くらいの方が再狭窄といってまた詰まってしまいました。これを防ぐために考案されたのが金属製のステントです。

ステント治療の開始当初は、ただの金属のステントでしたが、その後改良をされて、現在は再狭窄予防のお薬の塗ってある薬剤溶出性ステントというのが主流です。ステント治療をした直後は金属が血管の中で剥き出しの状態です。ステントは体にとって異物なので、血小板という細胞が集まり血栓を作ってしまいます。これではステントを入れた意味がないどころか、危険なので、ステント治療をする方は皆、すべからく血液サラサラ系のお薬(抗血小板薬)を2種類飲むことになります。

ここがポイントです。仮に医師から処方された抗血小板薬を自己判断で実は飲んでいなかったりすると、治療直後に血栓ができて心筋梗塞を起こし、命に関わります。つまりステント治療には文字通りこの血液サラサラ系のお薬は必須なのです。

なお、ステントの金属もやがて時間が経つと血管内皮細胞という自身の細胞に被覆されて剥き出し状態ではなくなるので、血液サラサラ系のお薬はだいたい半年から1年が経った時点で、1種類に減らす場合が多いです。

これは出血のリスクと、血栓ができるリスクのバランスなので、患者さんごとに異なるため担当医師の指示に必ず従ってください。

さて、ステント治療と血液サラサラ系の薬の切っても切れない関係を説明してきましたが、最後に1つ、問題提起を。

例) 心臓のステント治療をしたが、直後に大腸癌が見つかり手術をしなければいけないことになった。さてどうするか。

こんな状況の時はどうすればいいか。そんな偶然・・・と思うかもしれませんが、こういうことはよくあります。結論から言うと、とても困る、としか言えません。大腸癌の手術は転移なんてする前に当然早めにした方がよいでしょう。しかし血液サラサラ系の薬はすぐにはやめられない。よって答えはありません。

だからこそ、前回説明した便潜血の検査のような、検診が大事なのです。また我々はカテーテル治療をする前には必ず、貧血や出血傾向がないか、今一度よく考えてから治療をします。もちろん急性心筋梗塞の場合はそんな悠長なことは言っていられませんが。

本日はこの辺で。次回はこの続きで、カテーテル治療の注意点、合併症と医療ミスの違いについて、を予定しています。それでは!

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大腸のスクリーニング、便潜血検査について

こんにちは。それでは前回の予告通り、本日は「便潜血」の検査について説明します。

便潜血の検査は、まあ言ってしまえばいわゆる「検便」ということです。お食事中の方がいたら深くお詫び致します。

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さて、この検査では何を見ているかというと、要は「便の中に血が混ざっていないか」をチェックしています。そんなの見れば分かるじゃないか。とツッコまれそうですが、そうではありません。肉眼的に見えないようなわずかな出血。それをみるから便「潜血」なのです。

例えば働き盛りの30代、40代の方は誰しも健康に多少の不安を持っていると思いますが、その中でも突然の癌などは心配ですよね。中でも胃癌や大腸癌というのは自分がなってもおかしくない、と私も思います。

では仮に、胃や大腸にある程度の大きさの癌があったとしましょう。私たちは普通に毎日食事をします。癌細胞は血流が豊富という特徴があるので、消化管の中を食べ物が通過すると、癌(≒腫瘍)の一部から出血することがあります。食事は毎日しますから、高い確率でこうした微小出血が起こっていることになります。ではその場合、便潜血を検査するとどうなるか?言うまでもなく出血あり、つまり陽性となるわけです。

ここで誤解しないでほしいのは、何も便潜血が陽性=癌です、とはならないということです。

ですから例え健康診断での便潜血が陽性と出たからといってすぐに落胆しないでください。今からそうでない場合も説明しますから。

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①単に痔がある場合、便が硬くて出るときに肛門の粘膜から出血している場合

あくまで便の中に血が出ている、というだけの所見なので、こうしたことが考えられます。例えば便秘症で3日ぶりにやっと便が出たけど硬くて・・・なんて場合には検査上は便潜血+となることもあります。痔がある場合も同じですね。

②大腸のポリープなど良性腫瘍や憩室からの出血の場合

腫瘍=癌ではありません。良性のポリープや、憩室といって大腸の中にいくつも小部屋のようなものがある場合があり、こうしたところから出血する場合があります。

いずれにせよ、便潜血が+と判定された場合は、ふつうは2回の結果を総合判断しますが、原因を調べないといけません。それが大腸カメラ、もしくは胃カメラの検査になります。もちろん両方やるにしても負担は大きいですから、それは担当の先生と相談してどこまで検査をやるべきかを決めていくことになります。

 

そうはいっても便潜血+なんて言われたら検査するまで不安で・・・という方も多いと思いますのでここで最後に1つだけヒントを書きます。それは、

#便潜血の結果だけでなく、「貧血」の程度をみる、です。

これでは何のこと?ってなりますよね。少し話は逸れますが、一般的に「貧血」といったら皆さんは何を思い浮かべますか?

きっと、学生時代に朝礼で、校長先生の話が長くて「貧血を起こして」保健室へ運ばれてしまった、もしくはそういう子がいた、といったような映像を思い浮かべた方が半分くらいいるんじゃないでしょうか。

これは、残念ながら医学用語では不正解です。「貧血」とは、血液中の赤血球の数が少ないため、全身に運ばれる酸素量が不足している状態、です。どういうことか。赤血球は酸素を運ぶ細胞ですが、例えば出血多量の状態だと当然血が少なくなり、血液は薄くなります。この状態を貧血と呼ぶのです。朝礼で倒れてしまう子は、急激な出血などで血液が薄くなり全身に酸素が運搬されずに倒れているわけではないですよね。

すいません、話がだいぶ逸れましたが、つまり貧血とは「血が足りない状態」と言えます。先ほどの例ですと、胃癌や大腸癌がもし仮にあったとすると、私たちが食事をとるたびに癌細胞から消化管を通って便に少しずつ微小な出血が続くことになるので、健康診断の採血で「ヘモグロビン値」もしくは「血色素量」が低下することが多いです。

もしあなたが健康診断で便潜血+と指摘されてしまったら、まずは採血結果の中の血算というところに書いてある「ヘモグロビン値」もしくは「血色素量」をチェックしてみてください。この数値が低下しているかどうかによっても早めに胃カメラや大腸カメラをするべきなのか、という1つの指標になります。

注)上に書いたことはあくまで目安ですので当然例外もあり得ます。当ブログでは、患者さん1人1人の病気の理解の助けになり予防の意識を向上させることを目的として書いていますが、個々のケースでは必ず決めつけはせずに担当の先生と相談して治療方針を決定してください。

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心電図の話。狭心症?~ST低下とは?~

こんばんは。今回は質問?的なことがあったので、健康診断の結果でときどき記載のある心電図の「ST異常」もしくは「ST低下」について説明したいと思います。

分かりやすくするために今回はなるべく手短に。「ST」というのは、心電図を読む上での暗号のようなものなのであまり気にしなくてよいです。「ST異常」とか、「ST低下」と書かれた場合は以下のようなことが考えられます。

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①狭心症など心臓の血管が狭い病気

この場合、普通は「胸が痛い」などの症状が出ます。狭心症そのものについては胸の痛み、危険信号を見逃すな、で述べていますのでそちらをお読みください。これらの胸の症状と心電図の所見の両方がある人は、狭心症、心筋梗塞のリスクが高いので直ちに医療機関を受診してください。

②心臓の筋肉が肥大している場合

心臓は筋肉の塊によりできている臓器です。主な働きは全身に血液を巡らせること。例えば長い間高血圧を持病として持っていたり、治療しないままの状態が長いと心電図の波形が変化していきます。血圧とは血管の抵抗を表すので、血圧が高いと心臓の筋肉はそれに逆らって強い力で血液を巡らせなければいけません。このため勝手に筋トレ状態が続くことになり心臓の筋肉は肥大していきます。すると心電図の「ST」に変化が出てきます。これを高血圧性の心肥大といいます。

心臓の筋肉が鍛えられていいのでは?と思う人もいるかもしれませんが、今はよくとも5年後、10年後にやがて心臓の筋肉が疲れてしまい、動きが悪くなってしまい心不全という病気の元になります。なので早めに心臓を保護する薬を飲むのがよいでしょう。①ほどの緊急性はないですが、将来の心不全を予防するために今からきちんとした治療を受けるべきです。

③肥大型心筋症の場合

②と似ていますが、遺伝子の異常などで生まれつき心臓の筋肉が肥大しやすい病気の方がいます。ご家族(ご両親や親族)に同じような病気の方がいることも多いですが、心電図は②の場合よりも一層、特徴的な変化をしています。とはいえ①でないとも言い切れないので、これも専門医による適切な判断が必要です。

その他の可能性ももちろんありますが、ST変化、ST低下の原因として多いものを挙げてみました。

頻度、可能性は①と②が圧倒的に多いです。いずれにせよ、心電図で「ST」が変化しているというのは何かしらの原因がある可能性が高く、またほとんどは心臓が原因です。緊急性の高い病気もありますので、健康診断などでこうした指摘を受けたら内科もしくは「循環器内科」の受診をお勧めします。

簡単ですが、今日はこの辺で。次回は「大腸のスクリーニング、便潜血検査について」を予定しています。なお、今回は3部作として「心臓のカテーテル検査とステント治療」までを予定しています。大腸と心臓がなんで関係あるの?と気になる方は是非次回以降の更新もチェックしてくださいね。それでは。

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ステロイドって何?

こんにちは。前回の続きの意味も含めて、今回はステロイドという薬について説明します。

ステロイドという名前自体は、特定の薬の名前ではなく、いくつかの薬の総称です。つまりステロイドの中にも何種類もあり、飲み薬や点滴薬、はては目薬や軟膏など多岐に渡ります。

では、ステロイドとはどのような薬なのでしょうか?そもそもステロイドとは何なのでしょうか?

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もともとは、ステロイドとは私たちの体から分泌されているホルモンの中の1つです。主に腎臓の脇にある副腎と呼ばれる臓器から分泌されます。

皆さん、コレステロールというのは聞いたことがあるのではないでしょうか?

コレステロールも広い意味ではこのステロイドの一種です。コレステロールは肝臓で作られますが、一般的にステロイドというのは副腎で作られます。ステロイドの役割は、その種類により違いますが、糖分やナトリウムを体の中に維持したり、男性ホルモンや女性ホルモンとして働き、生きていく上でも種としての生殖活動をする上でも必要なホルモンです。

では、このもともと私たちの体の中にあるステロイドホルモンを病気に使うのは、なぜなんでしょうか?

ステロイドは、巷では魔法の薬とか、都市伝説のレベルでは悪魔の薬とか言われることもあるようで、人によっては誤解されやすい薬の1つかもしれません。患者さんの中には、ステロイドは昔、飲むなと教わったから飲まない!なんて人もいるかもしれません。

たしかにステロイド薬は幅広い病気に使われます。ステロイドが薬として使われる場合は、多くの場合は自身の免疫系を抑制するために使われます。

えっ、免疫ってないと困るんじゃないの?と賢明な読者の方はお思いになるかもしれません。それはその通りです。健康な人に使うと、デメリットの方が大きいでしょう。

しかし、世の中には、アレルギー反応や広い意味での免疫反応が過剰に起こってしまい、自分の体を傷つけてしまう病気が少なからず存在します。

そうした病気の中で、誰でも聞いたことがある代表選手を挙げると、「喘息」、「花粉症(アレルギー性鼻炎)」、「アトピー」、「リウマチ」などでしょうか。

個々の病気の説明はここでは割愛しますが、これらはいずれも過剰すぎる免疫反応が主な原因の病気です。

私たちの体には、異物を排除せよ、という免疫系と呼ばれる仕組みが備わっています。私たちの周りにはたくさんのウイルスや細菌などの微生物が実はたくさんいます。仮に免疫系がなかったら、私たちは皆、これらの微生物に感染してしまい人類は絶滅するでしょう。

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つまり免疫系とは、ウイルスや細菌、その他の「異物」を敵と見なしてやっつける仕組みのことです。

例えば分かりやすく、花粉症を例にとると、これは鼻から入った花粉が、体内で「異物=敵」と見なされ、それらを倒すために起こる反応により鼻水やくしゃみが出るのです。鼻水やくしゃみは、ばい菌を体外に出すための仕組みなのです。

しかし、春頃に大量の花粉が体に入ると、この仕組みにより私たちは苦しむことになります。花粉症に関しては詳しくは前ブログ花粉症についてをご覧下さい。

なお、花粉症は外から来た異物が原因でしたが、関節リウマチなどのいわゆる「膠原病」と呼ばれる病気は、自分の細胞を間違えて敵と認識してしまい、自己抗体と呼ばれる自分の細胞をやっつける抗体ができてしまい、この免疫反応が次から次へと起こることが原因の病気です。

これらはほんの一部の例ですが、ステロイドを使うべき病気の仕組みは、だいたい同じようなことが原因となります。

何事とやりすぎはよくない。ということで、この過剰すぎる免疫反応を適度に抑えるためにある薬が、ステロイドです。

もちろん、体にとって必要な免疫反応を抑える薬なので、やむを得ない副作用はたしかに起こり得ます。先に述べました、ステロイドは悪魔の薬、と言う方がいるのはこの副作用が心配だからでしょう。

ステロイドの副作用はたしかに何種類もあります。例えば、感染に弱くなったり、糖尿病や高血圧、うつ病になることがあります。その他、顔や足がむくむ、胃潰瘍、骨粗鬆症、白内障、緑内障、大腿骨の壊死、など起こりうる副作用を列挙していくとたしかにステロイドが嫌われるのも分かる気がします。

ステロイドは気軽に使う薬では決してありませんが、もしこの世からステロイド薬がなくなったとしたら、多くの病気が不治の病になるでしょう。ステロイドを使わないと治療できない病気の中には、難病と呼ばれる病気が多く、確かにステロイドで完治したからステロイドを飲まなくていい、とはならないケースも多いです。しかし、ステロイドのお陰で病気の勢いが弱まり、寛解状態が得られることが多いのも事実です。

副作用のないステロイドというのがあれば、それは本当の魔法の薬と言えるでしょうが、現代医学ではまだ無理なのも事実です。

ドラマの世界とは違い、100%安全な手術はないのと同じく、体質というのも人それぞれなので、副作用のない薬もまたありません。要は、ステロイドを飲むべき病気の場合、ステロイドの副作用やリスクよりも病気を治療しない方が命に関わるから、ステロイドを使うということです。

特に、ステロイドの使用量が多い方は、絶対に途中で飲むのをやめないでください。ステロイドは徐々に飲む量を減らしていくお薬です。自己判断で薬を飲むのをやめてしまうと、一気に病気がぶり返したり、体内のステロイドホルモンが不足して離脱症状を起こすことがあります。

いかがだったでしょうか?ちなみにアレルギーや免疫の例で花粉症なども挙げましたが、花粉症くらいであればステロイドを出すことは基本的にはありません。代わりにヒスタミン受容体拮抗薬と呼ばれる、よりマイルドなアレルギーのお薬が中心になります。

蛇足ですが念のため。それではまた。

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ネフローゼ症候群

こんばんは。今日は「人狼ジャッジメント」というネットゲームでの感想戦がきっかけでネフローゼ症候群という病気について勉強しましたので解説します。

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まずネフローゼ症候群とは何か?ということからですが、簡単にいうと腎臓の機能の異常で、尿にタンパク質が多量に漏れ出てしまうため、血液成分中のタンパク質が減り、血液が薄くなり(浸透圧が低くなる)、その結果血管の外に水分が漏れてしまい「むくみ(浮腫と言います)」症状が起こる病気です。

ここ、少し難しいと思うのでさらに詳しく説明します。まず、血管には実は小さな小さな穴があいています。イオンや水などはこの小さな穴を通って出入りできるのです。血管の中と血管の外(間質といいます)はこの穴を通して水分のやり取りをしています。血管の中のタンパク質が濃いと、水分を血管の中に引き込めますが、逆に薄いと血管の中の水分は外に引っ張られます。まあ綱引きみたいなものですね。その結果、「間質」に水がたくさん漏れることでむくみとなるのです。むくみは膝より下の足に起こりやすいですが、血管は全身にあるので、顔がむくんだり、時に胸水や腹水といって、胸やお腹に水が貯まることもあります。

さて、ネフローゼ症候群の症状は①浮腫以外にも他にもあります。

②腎機能低下:タンパク尿が続くと、腎臓の機能が落ちてくることがあります。腎臓の機能とは、子糸体と呼ばれる部分で血液をろ過して必要な成分と不要な老廃物に仕分けるものです。不要な老廃物は尿として捨てられる仕組みで、これを行っているのが腎臓です。腎機能低下が進むと、やがては尿が作られなくなるため「透析治療」が必要になります。

 

③コレステロール値の異常:ネフローゼの患者さんは、比較的多くコレステロールが高いことがあります。原因ははっきりとは分かっていませんが、結果としてコレステロール値が高いと動脈硬化が進み、他の病気も合併しやすくなるので注意が必要です。

 

④凝固系の異常:また、ネフローゼの患者さんは凝固系の異常を起こすことがあります。詳しくは前ブログ健康診断(凝固系)もご参照ください。日本血栓止血学会による「肺血栓塞栓症/深部静脈
血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」では、ネフローゼ症候群の血栓症リスクが指摘されています。血栓症とは、血のかたまりができてしまい、大事な臓器やその血管を詰まらせてしまう病気です。血栓ができないようにする予防法としては、入院や体調不良で長い間横になって寝ていることが多いときなどは特に、弾性ストッキングなどで足の静脈に血栓ができるのを防ぐとよいでしょう。

 

⑤免疫異常、感染症:ネフローゼ症候群の患者さんは感染症のリスクが高いことが知られています。先ほど、ネフローゼはタンパク質が尿の中に漏れ出てしまうと書きましたが、この中には免疫系を担当するタンパク質もあります。ネフローゼの患者さんはこの免疫担当のタンパク質(免疫グロブリンといいます)が減ってしまうこと、また治療のためのステロイドという薬の副作用で感染症にかかりやすいというものがあるため、感染リスクが高いのです。

混乱を避けるためにここではあまり詳しくは触れませんが、ネフローゼ症候群というのは「尿に蛋白が漏れ出てしまう腎臓の病気」、の総称です。正確には腎臓の細胞を顕微鏡で見て、細かい病名が決まります。その病名によって実は長期的な見通しも違ってくるのでこの辺については担当の先生とよく相談して下さい。

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治療について・・・

①ステロイド

ネフローゼ症候群の主な治療は、「ステロイド」と呼ばれるお薬です。商品名は「プレドニゾロン」というものが多いです。ステロイドとは何か?についてはまた機会があれば詳しく取り上げたいと思います。すごく簡単に言うと、様々な病気で起こる免疫系や炎症反応を抑えてくれる魔法の薬です。ネフローゼ症候群や、そのもとになる腎臓の病気は未だに原因が分かっていないものが多いですが、何らかの「炎症反応」によって腎臓の機能に障害が起こるので、このステロイドが効果があることが過去の経験から分かっているのです。

その他、ステロイドでも効果が出ない場合は、「免疫抑制薬」と呼ばれるさらに強い薬を使い、病気の原因となる免疫反応や炎症を抑える治療をします。

お気づきの方もいるかもしれませんが、「免疫反応」自体は体にとって必要なものです。これがあるからこそ、私たちは周りの細菌やウイルスにそう簡単には負けない体でいるのです。このため、ステロイドや免疫抑制薬の副作用として「感染症」が挙げられます。手洗いうがいなどをして身の回りを清潔に保つしかないですが、こればかりは個人差があるので、薬の副作用として残念ながら感染症にかかってしまうことは一定の確率で起こり得ます。大事なのは、免疫が弱まっていることを認識したうえで、少しの発熱や風邪のような症状であったとしても軽く考えず、かかりつけの病院を早めに受診することだと思います。

②利尿薬

これは、文字通り、おしっこを出やすくする薬です。なぜこれが必要かというと、最初にお話ししたようにタンパクが尿に漏れてしまうため、ネフローゼではむくみが出やすいのですが、このむくみの治療に利尿薬が必要となります。ステロイドなどで症状が落ち着いている場合は利尿薬が必ずしも必須ではない場合があります。

③腎保護薬

これは、一般的には「降圧薬」として知られている一部の薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシンⅡ受容体阻害薬と呼ばれる特定の薬には、実は腎保護作用が証明されています。このため徐々に腎臓の機能が悪化していく懸念のあるネフローゼ症候群では、こうした腎保護薬を使う場合があります。

④コレステロール降下薬

これも先ほど書きましたが、ネフローゼの方はコレステロール値が上がりやすく、その結果脳梗塞や心筋梗塞などの心臓や脳の血管の病気になりやすいことが知られています。このため採血などでのコレステロール値をみて、コレステロール降下薬が使われる場合があります。詳しくは前ブログ糖尿病と高脂血症をご参照ください。

⑤血液サラサラの薬

これも先ほど述べましたが、ネフローゼの患者さんは血栓ができやすいため、足の静脈などに血栓ができてしまうことがあります。これも体質で、個人差があるため全員一律に血液サラサラの薬を飲めばいいわけではありません。しかし、そうした症状や検査で血栓を疑う所見があった場合は血液をサラサラにして血栓予防をする薬を使うことがあります。

 

いかがだったでしょうか。少し長くなってしまいましたが、今日はこの辺で。というか実は昨日の夜から修正しながら少しずつ書いていたのですが。次回はステロイドという謎の薬について掘り下げてみたいなと考えています。それでは。

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糖尿病3大合併症について

こんにちは。久々の更新です。

今回は糖尿病の3大合併症について説明します。糖尿病自体については過去のブログ「糖尿病と高脂血症について」でも説明しているので参考にしてください。

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糖尿病とは、「糖分の食べ過ぎ」または「血糖を下げるホルモン(インスリン)の不足」によって血液中の血糖値が高い状態が続く病気といえます。その結果、腎臓で再吸収しきれなくなった「糖」が尿検査でも検出されるために「糖尿病」といいます。ここまでは皆さんなんとなくご存知かと思います。では、具体的に糖尿病になると何がいけないのでしょうか?

その答えが、今回のタイトルにもなっている糖尿病の3大合併症です。糖尿病になると全身の血液中の血糖値が高くなります。全身の臓器という臓器は、血液により酸素や栄養をもらって生きています。血液中の糖分が高いと、血管が段々痛んできます。これを「動脈硬化」といいます。これはもちろん糖だけでなく、血圧が高かったりコレステロールが高かったりタバコを吸っていると、同じように動脈硬化が起こります。

動脈硬化が進むと、血管が硬くなり詰まりやすくなったり、その先にある臓器に障害が起こります。前置きが長くなりましたがこの臓器障害が糖尿病の弊害なのです。その中でも頻度が多いものを3大合併症と言います。ここでは起こりやすい順、早く出てくる順番に説明をします。

①神経障害

糖尿病になってまず初めに起こりやすい症状として、神経障害があります。具体的には手足が痺れたり、痛みや熱に対する感覚が鈍くなる、立ちくらみを起こす、などです。また進行すると足の先が黒くなったり(潰瘍といいます)、壊死を起こしたりすることもあるので早めに治療することが重要です。進行してしまった場合は最悪の場合、壊疽した部分を切断しないといけません。(放っておくとそこから感染を起こし、敗血症となり命を落とす場合もあります)

このことからも予防医学の大切さが痛感できます。

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②網膜症

糖尿病の患者さんでまず初めに出てくる症状は網膜症と呼ばれる眼の病気です。眼の網膜と呼ばれる部分には毛細血管がたくさんありますが、糖尿病を長い間ほっておくとこの毛細血管が詰まってきて網膜への酸素や栄養分が不足してしまい、やがて眼が見えなくなっていきます。

糖尿病網膜症は、糖尿病になってから10年~15年くらいで起こることが多いですが状態が悪いと5年くらいで起こることもあります。初めは視力が低下するくらいですが、症状が進むと眼底出血をしたり、最悪の場合は失明することもあるので注意が必要です。

③腎障害

最後に、糖尿病の経過が長い場合、具体的には糖尿病になってから10~15年以降の後半に出てくる有名な合併症として「腎障害」があります。腎臓には糸球体と呼ばれる尿をつくるための器官があり、そこには毛細血管がたくさん分布しています。糖尿病に長くかかりそれらの血管が長い間「高血糖状態」にさらされていると、こうした腎障害が出てきます。この腎臓の病気は進行は徐々に、ゆっくりと進行しますが元に戻すことはできません。

最終的には腎臓が機能しなくなり、透析治療が必要になります。もしくは腎移植という方法もありますが、これは臓器提供をしてくれるご家族がいないとできません。

透析については前回記事も参考にして下さい。透析をするとひとまず腎臓の機能の代わりをしてくれるので、生きていくことができますが、透析をすることにより例えば血管の石灰化が進んだり、心臓の動きが悪くなったり、感染症のリスクなどがあります。何より透析治療は週3回、4-5時間の治療をしなければならず、患者さんの精神的負担も大きいです。透析治療を否定しているわけではないので誤解しないで下さい。透析自体は腎臓機能がなくなってしてしまった方でも生きていくことができる素晴らしい治療です。ただし、自分の腎臓の機能とイコールではないし、先に述べた問題点もあるので、そうならないように予防することがそれ以上に大事だということです。

それではまた。なるべく頑張って更新します。

 

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