日別アーカイブ: 2019年5月4日

体重が減る病気の鑑別について

こんにちは。なんだかんだで色んな病気のことを書いてきたので、メジャーな病気についてはそこそこ触れてきたような気がします。

ということで、一般の方向けに分かりやすく書くのであれば、症状→病気、という視点が分かりやすいのではないかと思い立ちました。ある症状から考えられる病気の鑑別を書いていくことで、これを繰り返すと辞書のような形になるのでは、と思います。

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実際、医学部の授業ではチュートリアルのような学習法で、病気の講義だけではなく、〜という症状から考えられる病気をいくつ思いつくか、という考え方は取りあげられています。研修医の頃の救急外来の当直でも応用できる考え方です。当たり前ですが、患者さんは自分は〜病なので治療して下さい、とは言いません。こういう症状で困ってるんです、という主訴(CC=Chief Complaints)を持って病院に来られることが多いです。

また、私はこういう症状があるけれど、何科を受診すればいいんだろう?と悩むこともあるかもしれません。そこで、症状という切り口でどんな病気が考えられるか、ということを勉強していきましょう。

第1弾として、体重減少、を取り上げてみました。明らかに食べるものがヘルシーになったとか、運動してダイエットしてます、という場合は体重は減って当然ですが、特に身に覚えがないのに体重が減るのは心配ですよね。では体重が減少する病気はどういったものが多いのでしょうか?

◯体重減少ってどのくらい?

まず体重減少の定義からです。一般的には5kg以上または全体重の5%以上の減少がある場合は、医学的に何か原因疾患があると疑う根拠になります。あくまで目安ではありますが。

◯原因について

診断の上でポイントとなるのは、当たり前ですが「ご飯を食べれているかどうか」ということです。

①内分泌疾患

食欲があるのに体重が減っていく場合は、内分泌疾患が隠れていることがあります。内分泌疾患の代表選手が、糖尿病と、バセドウ病です。糖尿病は食べすぎて体重が増えそうなイメージがあると思いますが、それは2型糖尿病です。一般的に糖尿病と言えば2型なのですが、1型糖尿病は特発的にインスリンというホルモンが出にくくなってしまう病気で、詳しくは前ブログに書いてありますが、こちらの場合は体重が減ることがあります。

バセドウ病は、別名甲状腺機能亢進症と言いますが、要は甲状腺のホルモンがたくさん出てしまう病気です。甲状腺ホルモンの役割は、代謝を活性化させたり交感神経と呼ばれる運動している時に活性化される神経を刺激します。結果、代謝が活性化すると汗がたくさん出たり、痩せるので今回の話のテーマにもある体重減少につながります。

脈拍が早くなったり不整脈が出たりすることもあるので、治療が必要です。

②悪性腫瘍

また、短期間で大きな体重減少がある場合は、あまり考えたくはないですが、悪性腫瘍の可能性を見なければいけません。悪性腫瘍とは、いわゆる癌のことなのですが、敢えてこの書き方をしたのには理由があって、胃癌や大腸癌のような固形癌と、リンパ腫などの血液の細胞の癌があるからです。癌細胞は増殖が早いので、糖やエネルギーを消費します。このため体重が不自然に減少するのです。

※食道癌や胃癌、大腸癌といった消化器系の癌は、上記の理由の他にも、大きくなるとそもそもご飯を食べた時に引っかかって通過しなかったり、便秘になったりするので食欲が落ちてしまい、そういった意味でも体重は減少するので特に注意が必要です。

③炎症性腸疾患など

最後に、あまり頻度は多くないですが、小腸や大腸での栄養分や水分の吸収不良やタンパク質が漏れてしまう病気、そしてクローン病や潰瘍性大腸炎などの腸に原因不明の炎症が起こってしまう病気の可能性もあります。これらは血液検査などでも手がかりがあり、分かることもありますが、下痢や腹痛、血便といった腸の症状が出るので、消化器内科を受診して詳しい検査をしてもらいましょう。

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さて、では今度は、シンプルに食欲がなくてご飯が食べれなくて体重が減る病気です。

④腸閉塞(イレウス)

先程※で述べたような病気もそうですが、癌でなくても、腸閉塞という病気があります。これは、お腹の手術をした方に多いのですが、何らかの理由で腸の途中で便が詰まってしまい、それによって食べ物が消化管を進んで行かず、段々と溜まってしまう病気です。これによって便秘や吐き気、食欲低下が起こるので、結果として体重が減ることになります。

⑤うつ病(その他精神疾患)、アルコール依存

食欲がないことについては個人差がありますが、例えばうつ病などの精神疾患が原因のこともあり得ます。

またアルコール依存症の方は、あまりご飯を食べないので段々と痩せていってしまいます。

病気の原因を考える上では患者さんの性別や年齢なども重要です。例えば若い女性の場合、自身のボディイメージが極端に偏っていた場合、側から見てて十分痩せているのに、太りたくない、という心理から食欲が低下してしまい極端に痩せ細ってしまう病気もあります。神経性食思不振症と言います。たくさん食べればいいだけ、しかし、何よりもご本人が食べることを拒否してしまうので想像以上に治療が難しいこともあります。

だいたいこんなところでしょうか。鑑別のポイントとして要点をまとめましたが、体重が減るという抽象的な概念なので、探せば他にもあるでしょう。しかし、頻度として多いものや見逃したくないものを優先して書いたつもりです。それでは今日はこのへんで。

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