日別アーカイブ: 2019年5月10日

インフルエンザ再流行と注意すべき2つのポイント

こんにちは。さすがに平成も終わり、令和となり暖かくなってきましたが、今年はスギ花粉の飛散量が多かったり寒暖差が大きい影響もあり、春になって再びインフルエンザが再流行している地域もあるようです。私自身は4月に入ってからはインフルエンザの患者さんを見ていませんが、ニュースにもなっているように一部では流行しているのが事実です。

我々としても冬場は当然のように発熱の鑑別にまず「インフルエンザ」を挙げて検査をするのですが、まだまだインフルエンザを無視するわけにはいかないようですね。

今回は、患者さん目線でインフルエンザについて注意すべき点をまとめてみました。

 

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まずインフルエンザとは、「インフルエンザウイルス」が原因で起こる感染症です。インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型があり、人に感染するのはA型とB型です。

症状として多いのは、発熱(高熱のことが多いが必ずしも高熱が出るとは限らない)や咳、のどの痛みといった風邪のような症状に加えて頭痛や全身の筋肉の痛みが出るのが特徴です。ただし、これら全てが揃うわけではなく、いずれかの症状が出ることが多く、症状は人によって異なります。

インフルエンザワクチンの接種により予防効果は高まりますが、ワクチンを接種するとインフルエンザにかからないわけではありません。米国の報告では、インフルエンザワクチンの65歳以下の予防効果は70~90%(ワクチン株と流行株が一致している場合=つまり流行しているウイルスの型の予想が当たっている場合)と言われています。日本では65歳以上の基礎疾患のない方の予防効果は約45%の発症を阻止し、約80%の死亡を阻止したとの報告があります。1)~3)

次にインフルエンザの診断についてですが、医療機関にいけば簡単な迅速キットで5~15分程度で診断がつきます。方法は鼻の中を細い綿棒のようなものでグリグリやって、鼻の粘膜についているインフルエンザウイルスの抗原の有無を判定します。ここで注意点その1ですが、インフルエンザの診断は、発熱(発症)後、12~24時間経たないと陽性になりません。言い方を変えると、インフルエンザの診断は、発熱などの症状が出てからすぐにやっても、「本当はインフルエンザだったとしても」陰性と出るのです。このため、医療機関によってはインフルエンザの流行シーズンには、発熱して翌日の検査を勧める場合もあります。

例えば、「子供が2人とも昨日インフルエンザと診断され、自分も今朝から全く同じ症状で高熱が出ている」というような内容で病院を受診された方がいたとします。誰がどう見ても、十中八九インフルエンザですよね?しかし、インフルエンザの薬はインフルエンザの検査が陽性にならないと保険で出せないのが現状です。

また、インフルエンザは細菌ではなくウイルスなので、抗生物質は効きません。風邪などもウイルスが原因ですが、自然に治りますよね?インフルエンザも結局はウイルスが原因なので、若い人などは自然な免疫で勝手に治ることもあります。しかし、お子さんやご高齢の方など基礎体力が落ちている場合は重症化しやすいので、やはり1回陰性でも翌日再検査をして、インフルエンザであればインフルエンザの薬で治療するのがお勧めです。

 

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ここで、注意点その2です。ここが一番大事なところなので今までの話は読み飛ばしてもらっても結構です(笑)

何かというと、

インフルエンザには強い解熱鎮痛薬は禁忌です。

強い解熱鎮痛薬とは何か?医学用語で恐縮ですが、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)と呼ばれる薬です。具体的には、アスピリン®、バファリン®、ロキソニン®、イブプロフェン、ボルタレン®などです(※)  なぜダメなのか。これは、主に2つの合併症が起こる可能性があるからです。

①インフルエンザ脳炎、脳症

まず1つ目は脳炎、脳症です。インフルエンザ自体の合併症でも稀に脳炎を起こしてしまう方がいますが、インフルエンザに上記のような「強い解熱薬」を使うと脳炎になるリスクが高くなったり、命に関わる重症化しやすいことが指摘されています。

②ライ症候群

2つ目は、ライ症候群というちょっと聞きなれない名前の合併症。簡単に言うと肝障害と脳炎を同時に併発したような症状で、主にインフルエンザに対するアスピリンの内服との関連が指摘されていますが詳細は解明されていない病気です。①と少しかぶっている(オーバーラップ)ような印象です。

やや回りくどくなってしまいましたが、要は、発熱→解熱剤という公式が危ないですよ、というのが今回のメインテーマです。インフルエンザ自体は抗ウイルス薬(タミフル®、イナビル®、リレンザ®、ゾフルーザ®)でいつか治るでしょう。しかしやはり高熱はつらい。ではどうしたらいいか。

インフルエンザで唯一使っていい解熱薬はアセトアミノフェン(カロナール®、アンヒバ®)です。積極的に使った方がいいというものでもないので基本は頭を冷やして自然にインフルエンザの薬が効いて解熱するのが理想ですが、熱がつらい場合はアセトアミノフェンを処方するのが基本です。

では、インフルエンザ陰性の時、または病院でインフルエンザと診断されていなければ使っていいのか?ということですが、ここも注意が必要です。特に流行期においては、「発熱」→風邪かな?ということで市販薬(解熱鎮痛薬の成分含む)を飲んでしまうケースは非常に多いです。このため、稀に脳症を起こしてしまう方がわずかながらいるのも事実です。

繰り返しになりますが、発熱した当日はインフルエンザ検査が「陰性」と出ることもあります。しかし、実際にはインフルエンザであった場合は、実は解熱鎮痛薬が危険となることもあるので注意が必要なわけです。(私個人の考えとしてはよほどのことがない限り、特にインフルエンザ流行期の発熱にはアセトアミノフェンしか出さないことが多いです)

 

※上記の解熱鎮痛薬に関しては決して一般的に薬として否定しているわけではないです。あくまでインフルエンザの時に使用しないでほしい、ということです。

 

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参考文献:

1) 国 立 感 染 症 研 究 所 感 染 症 情 報 セ ン タ ー ホ ー ム ペ ー ジ

2) Prevention and Control of Influenza. Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP), 2008 . MMWR 2008 :57(RR-07):1-60

3) Influenza Vaccination of Health-Care Personnel.Recommendations of the Healthcare Infection Control Practices Advisory Committee (HICPAC) and the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP).MMWR 2006:55(RR-02):1-16

 

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